便潜血陽性

便潜血検査(血便)

便潜血検査は、あらかじめ渡された検査用のキットを使って、指定の方法で少量の便を採取し、便の中に肉眼で見えないほど微小な血液が含まれていないかどうかを調べます。
この検査の目的は、主に大腸がんの早期発見です。ある統計によると1000人に対して便潜血検査を行うと、50~100人が陽性となり、そのうち最も原因として多いのは痔、続いて大腸ポリープが陽性者数の3割程度、つまり15~30人程度とされています。また大腸がんが原因の方は1~1.5人程度という結果となっています。
しかし、この結果は決して安心できるものではなく、一度でも便潜血が陽性になったということは、腸管のどこかに何らかの病変が存在するということです。
そのため、どのような病変がおこっているか、便潜血が陽性であったら、できるだけ早く大腸カメラ検査を受けて確認する必要があります。
また、便潜血検査が陰性であっても、前がん病変のポリープや大腸がんが発生している可能性はあります。ポリープの小さなものや初期の大腸がんは出血が見られないことが多いためです。
便潜血陽性の方はもちろん、陰性の方も大腸がんの発症する可能性が高くなる40歳を超えたら定期的の大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。

早期発見や予防が重要な大腸がん

大腸がんの罹患者数は、2018年の統計で男女合わせて全がんの中で1位、男性では3位、女性では2位となっており、また死亡率では2020年の統計で男女あわせて2位、男性では3位、女性では1位といずれも上位の結果になっています。
しかし、一方で大腸がんは早期に発見しさえすれば、比較的簡単な治療で根治できるようになっています。また、前がん病変の腺腫という種類の大腸ポリープも、発見次第切除してしまうことによって、将来のがん発症の予防となるのです。
ところが、大腸がんは比較的自覚症状があらわれにくく、気づいたときには、すでにかなり進行してしまっていることが多いため、死亡率が高くなってしまっています。
便潜血検査は、病気のスクリーニング検査として有用ですが、実際に病気の診断や状態を確認するには大腸カメラ検査が必要となります。大腸カメラ検査なら、前がん病変のポリープを見つけたらその場で日帰り手術を行って切除してしまうことも可能です。

当院の大腸カメラ検査について

便潜血検査陽性を指摘されたら

便潜血が陽性であったということは、何らかの病変が大腸から肛門にかけて発症していて、そのため出血が起こっているということです。多くの場合は痔が原因ですが、たとえ痔の出血があったとしても、それ以外の病変の出血が混ざっている可能性は否定できません。また、便潜血検査が陽性で再検査を受けたら陰性だったからといって安心するわけにもいきません。大腸がんやポリープなどは常に出血しているわけではなく、硬い便が擦れたときなどにたまたま出血がおこっているだけのこともあるからです。
そのため、便潜血が陽性だった場合は、できるだけすみやかに消化器内科などで大腸カメラ検査を受診してください。万一、大腸がんがあっても早期発見・早期治療ができればその後の生活にはほとんど影響がない程度の治療で完治することもできます。

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